「うええええん…! 晴樹なんて嫌いだああ!!」


顔を見ないようにして、ゾンビに抱きつく。




「ごめんごめん。」


含み笑いでそう言いながら、晴樹はゾンビのマスクを外す。




「トリック オア トリート!!!」


泣きながら、悔し紛れにそう言い放つ。



「はいはい。Happy Halloween」



部屋の飾り付けをするぐらいだから、お菓子など忘れているはずもなく。



カボチャの形をした棒付きキャンディーが花束のようになっているものを、


晴樹はとびっきりの微笑みと共に、そっと差し出した。