「君とは此処でお別れだ」
「?」
不意に吹いた風に靡く長い髪。
攻防を繰り広げるフィノ達を遠目にしながら言うアスラの言葉に乱れた髪をかきあげるレノリアは首を傾げた。
「俺達と共に居ては君に迷惑をかけてしまう。勘違いされては困るだろう?異能者と内通しているのではないかとあらぬ噂をたてられては」
不老不死に雪女、更には天使や悪魔といった多くの異能者と関わりをもってしまったレノリア。
彼女は政府の人間だ。
それもかなりの上層部にその身を置いている。
信頼も厚いそんな彼女が異能者と共に居るなんて有り得ない。
あってはならない事なのだ。
「共に居ては困るだろう、か……今の私には、そんな気遣いなど不要だろうが……」
優秀であったレノリアだが、今では政府から追われる身。
異能者との関係に既に疑いを抱かれている彼女には、アスラの心配など必要は無い。
それを分かっているレノリアはどこか悲しそうな瞳で呟き、その言葉を不振に思うアスラは目を細めるが、無理に真意を訊く事はしないでいた。

