神の戯れ



 「…な、なな、何を……何をするーー!!」


レノリアの声と共に響く鋭く弾かれる音。

顔を真っ赤に染める彼女はリゲルを突き飛ばし、更に彼の頬に平手打ちをお見舞いした。




 「痛いじゃないか。僕は只、治療代を貰っただけなのに。酷いよお姉さん」


 「ち、治療代?」


頬を押さえ瞳を潤ませるリゲルの言葉に彼との距離を取るレノリアは眉を潜める。


彼が言うに、傷の手当をしたその代金をお金ではなく、彼女の胸に触れた事で受け取ったとの事。




 「それにしても、良い触り心地だった。形と言いおぉ───」


思い出すように目を瞑り、両手を握ったり開いたりするリゲルの頭上に現れた2つの人影。


突如現れたその2人によってリゲルの言葉は遮られる。




 「急に何だよヴィーナ、ヴィーネ。僕の頭は食べ物じゃないんだけどなぁ」


 「……」


リゲルの頭にかぶりつく双子の悪魔。

言葉も無く表情も変えない2人だが、どこか怒った様子で牙をむく。