昼か夜かも解らない真っ白な空の下、訳も分からずレノリアを置いて進む会話。
自分に関わる話であるようだが、彼等の中に入る事ができずにいた。
「さて、そうと決まれば早速始めようか。大丈夫、何の心配も要らないから」
「…な、何を……」
反射的に後退るレノリアに歩み寄るリゲル。
スッと片手を挙げると共に巻き起こる風。
木の葉を巻き込むその風はレノリアを包み込み吹き荒れる。
「っ……」
身の危険を感じ腰に刺す剣へと手を伸ばすが、ふと気づいた違和感に自らの身体を見下ろした。
「…傷が、治っていく……?」
腕や脚の小さな斬り傷や打撲、脇腹の深手すらも何も無かったように完治していく。
その様子を見つめるレノリアは信じられないと言葉を失い驚いた。

