整備されない凸凹な山道。 時折ぬかるみに足を取られそうになりながらも前へ進む男性は何かに気づき立ち止まる。 唯一の灯りである満月は厚い雲に覆われた。 瞬時に包まれる暗い闇。 瞳を開けているというのに何も見えない。 まるで目隠しされているようだ。 視覚を奪われ研ぎ澄まされる嗅覚や聴覚。 狭い空間に独り取り残されたような、そんな錯覚を覚えながら男性は1つ深呼吸。 フッと吐ききったと同時に聞こえてきた人々の騒ぎ声。 振り返ると、灯りの点る小さな喫茶店が其処には建っていた。