色も無ければ音も無い、まるで時の止まったようなその世界。


別次元に居るような、そんな錯覚を覚えるレノリアの瞳に不意に映った2人の少女。

誰も居なかった筈のその場に突如現れた少女は無表情でアスラとレノリアを見つめていた。




 「久々だなヴィーナ、ヴィーネ。元気そうで何よりだ」


 「……」


アスラの言葉に何も返す事無く立ち尽くすこの2人の少女の名はヴィーナ・ディアーブとヴィーネ・ディアーブ。
寸分の狂いも無く全く同じ容姿をした双子の悪魔である。




 「早速で悪いが、彼の居場所はわかるか?」


 「……」


尚も言葉を発さない2人は同時に瞬きをするとこれまた同時に片手を挙げアスラの後方を指差す。


それを問いの答えと受けとったアスラは礼を言い踵を返すとレノリアを連れ歩き出した。