額に浮かんだ汗が1つ流れ、顎から零れたそれは溶けた雪と混じり合う。


敵に囲まれ為す術の無いアスラ。


深く息を吐く彼は逃げきれないと諦め瞳を閉じる。


後は引き金が引かれ銃弾が頭部を貫き一時の間意識を手放すのみ。


それからの事は後から考えよう。
今考えたって何の意味も持たないのだから。




抵抗しないアスラへと銃口を向ける男が引き金を引こうとしたまさにその時、今までとは比べ物にならない程の吹雪が吹き荒れる。




 「なっ!?銃が!!」


とてつもない冷気に頭部から外された銃口。


瞳を開き振り返ると、力ずくで引き金を引こうとする男の姿が。




 「絶対零度でも使用可能な銃を持ってくるんだったわね」


益々強まる吹雪の中、響きわたる女性の声。


焦る男達は息を呑む。