「フィノ!?」 俯せに倒れた彼女の身体から溢れる鮮血。 それは止めどなく流れ出て純白の雪を真っ赤に染める。 「くっ……」 鳴り響いた銃声に顔を歪めるアスラは現状を把握する。 自分達を狙う政府の人々が直ぐ其処に居る事を。 そして、止んだ吹雪に消えた冷気、溶けだした深雪を目に確信する。 フィノの命に危険が迫っている事に。 「…相手は5人……?この現状を抜け出すには、先ずは彼等を追い返す事が第一条件」 瞬時に状況把握し打開策を練ったアスラは力強く地を蹴りその場から姿を消した。