「幾ら精度の良い力を保て、その力が底知れないからと言って、別に放出し続けなくても良いと思うが」
「確かにそうね。人々から狙われる身である私達は、自らを護る為力を隠すのが当たり前でしょう。弱い者達が既にそうしているようにね。でも、人々から逃げる為に身を隠し力を抑えるなんて私はできない。私は私。他の何者でもない。人々が立ち向かって来るのなら、私は真っ向から受けて立つ」
澄んだ瞳は強い意志を含むもの。
それを目にしたアスラは笑みを零す。
「本当、彼女の言う通り変わり者だ」
「だから、誰が変わり者なのよ」
フィノの掌に握られた雪の塊。
それは微笑むアスラの顔面にヒットした。

