神の戯れ



氷の椅子に座るアスラがあまりにもカタカタと震え寒がるので、フィノは仕方ないと右手薬指に指輪をはめる。


すると弱まる吹雪に和らぐ冷気。

フィノは力を抑えたのである。




 「そろそろ目的を訊こうかしら。こんな所まで何をしに来たの?」


 「俺は只、制御できるにも関わらず力を放出し続ける君が気になっただけだ」


 「力を抑えない理由を訊きたい訳ね。まぁ、隠すような事でもないから教えてあげるわ」


氷を飴のように口の中で転がすフィノは言葉を続ける。




 「此処は私にとってとても相性が良い場所なの。いわゆる聖地みたいな場。幾ら力を使おうが底を尽きる事は無いし、質の良い最高の力を持つ事ができる。だから私は此処に住み続け、尽きる事の無い力を放ち続けている訳。単に居心地が良いだけでもあるけれど」


微笑むフィノはフッと冷たい息を吐き、アスラはブルリと身を震わせた。