猛吹雪の中凍えるアスラを気づかい洞窟へと移動した2人。
風はしのげ寒さも和らぐが、漂う冷気を遮る事はできない。
「何か飲み物は無いか?」
「あら失礼、気が利かなかったわね。でも果たして、貴方が望む物を出せるかしら」
カタカタ震えるアスラは何か温かな飲み物で身体を暖めようと考えるが、フィノの言葉にハッとする。
寒さを好み自ら望んでこの場に住む彼女が温かな飲み物など飲む筈もなく、結果アスラに出される物は真逆の、冷えた飲み物なのである。
「否、遠慮しておくよ。急に押し掛けているんだ、手間をかけさせる訳にはいかない」
「あらそう?」
冷たい飲み物など凍える中で飲めたものではない。
寒さに耐えるアスラは苦笑しながらグラスを取り出すフィノを制した。

