僕を覚えていてくれた…
それだけでネコはうれしかった

助けてあげたい…
それだけがネズミの願いだった


“ありがとう、君に逢えてよかった”
僕はつぶやいた

“今度は区別のない世界で逢いたい”
あの子は言った


ネコは満足そうに目を閉じた
ネズミは静かに一粒の涙を落とした


世界は何事もなかったかのように動き続けていた


        ──END──