その後は眠いのを我慢してなんとか放課後まで睡魔に勝てた。
玄関にはヒールがバカみたいに高い赤いハイヒールと男物の靴が一足ずつ。
毎度の事だけど、これには本当嫌気しか出てこない。
「ぁっ…ん…ぁあ…っんぁ」
「はぁっ…ん」
リビングから聞こえる気色の悪い声は父親と知らない女の喘ぎ声。
母親は今どこにいるのかさっぱりだ。
10年前に私に一言、「ごめんね」とだけ言って大きなボストンバックを肩にかけて出て行ったきり。
それから父親はほぼ毎日こうやって女を家に連れてきては身体を重ねてる。
1ヶ月ごとに女の人が変わるから誰が誰だかも私は知らない。第一興味ない。
ただ、この家には私の居場所はない。
玄関の扉を閉めて行く宛もなく歩き出す。

