「眠い…」
昨日やっと寝つけたのは朝の4時を過ぎだ頃だった。
目を瞑ると何故かあの変人の笑顔が瞼の裏に浮かび出てきてなかなか眠れなかった。
お陰様で寝不足ですよ。
外は、昨日の雨が嘘だったように見事に雲一つない快晴。
窓際の席にはちょうど良く光が差し込んで、余計に眠気を誘う。
しかも今の授業は数学。目の前の黒板には好きでもないし見たくもない数式がずらずらと並ぶ。
あ、やばい、おちる…
「ぃ…み…きろ!雨宮!」
「…っ」
「1限から寝るなんてよっぽど眠いらしいな。よし、眠気覚ましにあの問題といてこい」
…あぁ、あれなら一昨日あたりに予習したわ。
家に帰ってもすることのない私は毎日教科書をひとりでに進めていく。
えーっと、これは…できた。
「正解だ。お前本当に寝てたのか?」
「思いっきり爆睡してました」
「堂々と言うな!」
クラスは笑いに包まれる。
それでも私は独りだ。友達もいなければ、話しかけてくる子もいない。
学校では3言話せば多いくらい。

