雨のち晴れ



鼻歌の変人はニコニコしている。


胡散臭い作った笑顔じゃなく、無邪気な子供みたいな笑顔で。


やっぱ変人だ…。


「ねー、名前わ?」


「…雨宮 佳歩」


変人はうーんと目を瞑って何かを考えている。


「アメかぁ…アメは雨が似合うね。」


「それ、嬉しくない。」


変人はつくづくどこまでも変人らしい。


そりゃ名前にアメって入ってるけど、アメってあだなはおかしいでしょうが。


雨が似合うなんて…嬉さの欠片もない言葉だ。


「えー、だって実際似合ってるしー?」


「…そ。私帰る」


「明日も会える?」


「…さぁ」


「会えるといーなぁ」


あんたみたいな変人となんて二度と会いたくないね。


そう心の中で呟きながら公園をあとにした。