「楓、ごめんな」
優しく『ごめんな』と言う健吾の言葉を聞いて、胸の真ん中がギュっと苦しくなった。
絶対に聞きたくない言葉だった。
健吾を想って、自分の気持ちを否定されることから逃げて来たのだから。顔を見られたくなくてうつむき、小刻みに首を振って否定する。
「違う・・違うよ」
私がこの話から逃げようとしたのが分かったのか、健吾が両肩をつかんできた。
「楓ちゃんと聞いて」
その声の真剣さに私の言葉も止まる。
「俺さ、楓のこと何でも知っているつもりでいたんだよ。この6年近く楓と一緒にいたのに、今井さんとおばちゃんから聞いて知らないことがありすぎてビックリした。ビックリしすぎてショックを受けたんだ」
健吾から何を言われるのか怖い。私の気持ちを知った上で何を話すというの?
「一番そばにいたのにな・・俺はちゃんとお前のこと見てやれなかったのかな?」
その言葉が胸に染みて、うつむいていた顔を上げてしまった。想像以上に健吾の顔がそばにあって戸惑ってしまう。でも、伝えるべき答えを口にしないといけない。
「違うよ、私が隠していただけ。健吾にばれないようにずっと隠して、嘘をついてきたの」
「嘘?」
「うん、気持ちがばれて・・拒否されるのが怖くて」
「どんな嘘?」
そう聞かれて戸惑ってしまう。どこまで話していいのか分からない。
それでもこれ以上隠す必要はないと語ってくれているような健吾の瞳が、私の心を解す。
「健吾の恋を応援したり、ずっと好きな人いないって言ったり・・・」
何となく健吾への愛情をダイレクトに伝えられなくて言葉が逃げ腰になってしまったとこへ、思ってもいない言葉を健吾が口にした。
「俺の知らないとこで黒糖焼酎を飲んだり?」
「・・・何で!」
ビックリした顔の私を見つめる健吾の顔は、優しい笑みを見せている。
でもすぐにその笑みを消し、不安そうな表情に変化させ探るように聞いてきた。
「俺、何度もお前を泣かせた?一人で何度も黒糖焼酎飲んできたのか?」
「ううん」
健吾の顔を見ながら首を振って否定しても、健吾の表情は余計に心配そうに目を細めた。
「私が隠してしまったから。嘘つき始めてその嘘に自分で苦しんできただけなの。それで行き詰っちゃって、最後は健吾に八つ当たりして逃げちゃったの」
「八つ当たりじゃないだろう?でもさ・・いなくなったのには参った。俺にとって楓がそばにいるのはあたりまえの事だったからさ、そのことに甘えていたんだな。そばにいないお前の存在に落ち込んだよ。その上連絡も取れなくなって、あいつのそばにいるって知ったんだからさ」
健吾の言うあいつ・・英輔のことをどうにも勘違いさせてしまっているようだ。
優しく『ごめんな』と言う健吾の言葉を聞いて、胸の真ん中がギュっと苦しくなった。
絶対に聞きたくない言葉だった。
健吾を想って、自分の気持ちを否定されることから逃げて来たのだから。顔を見られたくなくてうつむき、小刻みに首を振って否定する。
「違う・・違うよ」
私がこの話から逃げようとしたのが分かったのか、健吾が両肩をつかんできた。
「楓ちゃんと聞いて」
その声の真剣さに私の言葉も止まる。
「俺さ、楓のこと何でも知っているつもりでいたんだよ。この6年近く楓と一緒にいたのに、今井さんとおばちゃんから聞いて知らないことがありすぎてビックリした。ビックリしすぎてショックを受けたんだ」
健吾から何を言われるのか怖い。私の気持ちを知った上で何を話すというの?
「一番そばにいたのにな・・俺はちゃんとお前のこと見てやれなかったのかな?」
その言葉が胸に染みて、うつむいていた顔を上げてしまった。想像以上に健吾の顔がそばにあって戸惑ってしまう。でも、伝えるべき答えを口にしないといけない。
「違うよ、私が隠していただけ。健吾にばれないようにずっと隠して、嘘をついてきたの」
「嘘?」
「うん、気持ちがばれて・・拒否されるのが怖くて」
「どんな嘘?」
そう聞かれて戸惑ってしまう。どこまで話していいのか分からない。
それでもこれ以上隠す必要はないと語ってくれているような健吾の瞳が、私の心を解す。
「健吾の恋を応援したり、ずっと好きな人いないって言ったり・・・」
何となく健吾への愛情をダイレクトに伝えられなくて言葉が逃げ腰になってしまったとこへ、思ってもいない言葉を健吾が口にした。
「俺の知らないとこで黒糖焼酎を飲んだり?」
「・・・何で!」
ビックリした顔の私を見つめる健吾の顔は、優しい笑みを見せている。
でもすぐにその笑みを消し、不安そうな表情に変化させ探るように聞いてきた。
「俺、何度もお前を泣かせた?一人で何度も黒糖焼酎飲んできたのか?」
「ううん」
健吾の顔を見ながら首を振って否定しても、健吾の表情は余計に心配そうに目を細めた。
「私が隠してしまったから。嘘つき始めてその嘘に自分で苦しんできただけなの。それで行き詰っちゃって、最後は健吾に八つ当たりして逃げちゃったの」
「八つ当たりじゃないだろう?でもさ・・いなくなったのには参った。俺にとって楓がそばにいるのはあたりまえの事だったからさ、そのことに甘えていたんだな。そばにいないお前の存在に落ち込んだよ。その上連絡も取れなくなって、あいつのそばにいるって知ったんだからさ」
健吾の言うあいつ・・英輔のことをどうにも勘違いさせてしまっているようだ。



