何か、違和感が残る。
王子のあの天真爛漫さが、何かを隠しているように思えて仕方ない。
でも、確信をつけるものが何もない。
「真衣ちゃん、教室行かないの?」
190センチの巨体を曲げて、私の目の前にくる先輩。
毎日の平凡な生活で麻痺していたけれど、先輩も柊くんも王子も、そういえば私の大好きなイケメンだった。
「…先輩、は、彼女いないんですか?」
「俺?いっぱいいる」
悪戯っぽく言った先輩は私の頭をポンと撫でて自分の教室へ行った。
私も柊くんに引っ張られて教室へ向かう。
これ以上、王子に関わるのは嫌だった。
何か掴めないあの子といると、朝から本当に疲れる。
けれど、玄関で感じた違和感が…直感が私の心に靄(もや)をかける。


