一年の教室に向かう途中、通った遥の教室の前で王子を見つけた。
遥のクラスはまだHRが終わっていないのか、王子はポケットの手を入れたまま壁にもたれ掛かっている。
「あ、王子いたじゃん」
「いた、ね」
一年の教室まで行く手間が省けた。
私は一目散に王子に駆け寄ると、王子はこちらに気が付いて軽く手を振った。
「王子!王子のとこ行こうと思ってたの」
「え?真衣さんが俺に会いに?嬉しいなぁ」
やはりニコニコと笑う王子は、その後すぐに「でも、真衣さんとは出来ないなぁ」と言う。
なんのことかサッパリで、頭の上にはクエスチョンマークが多数あっただろう。
そんな私を見て王子は続ける。
「だーかーらー。真衣さんとは出来ないよ?セックス」
目の前が一瞬クラっと回ったのは言うまでもないだろう。
「セ、セ、セセセ…」と、だらしなく開いた口からは卑猥な言葉も出てこない。
そんな私に追い打ちをかけるように王子はまだ続ける。
「あれ?もしかして真衣さん処女?純情ー。かーわいい」
「か!からかわないで!」
「?からかってないけど?いや、今なんて高校生なら誰だってやってるでしょ。ね。大樹さん」


