「私は大樹とは付き合ってないよ。でも、大樹…他校に彼女、いるよ」
嘘を付く場所ではないけれど、なぜか少し心が痛む。
彼女は「そ、そうだよね」と真っ赤な顔をして今にも泣き出しそうだった。
「ごめん…」
「え?朝比奈さんが謝ることじゃないじゃん」
ニコっと微笑んで、彼女は自分の席に戻っていった。
ーー…なんだか、とても新鮮で。
最近…というか、この高校に入学してから、こういう純粋な気持ちに触れたのは大樹と柚花くっらいだったから、とても新鮮に感じた。
そうか、どんなにイケメンでも、どんなに美少女でも、
人を想うっていう気持ちがないと全く美しくない。
ふと、王子を思い出した。
彼の自分勝手で傲慢なそうなところは、彼の容姿には勿体無い。
どんなに王子でも、最初はキャーキャー言われても、自分勝手な性格だと、結局はみんな離れていってしまうから…


