お昼休みに、なぜか先輩も一緒にいるようになったのは、先輩のプロデュースが完了した一週間後のこと。



遥は「なんかまたイケメン増えてる」と呆れたように言ったあと「真衣が良いなら良いけど」と、お弁当を食べ終わると小難しい本を開く。
その横で、柊くんと先輩が難しい科学のうんちゃらかんちゃらな話しをする。

それを聞いて、ちんぷんかんぷんなのに頷く私。



そんな毎日が日常化し、そろそろ屋上で昼食は厳しくなってきたと感じるほど寒さが肌に突き刺さる季節に入った。



* * *


「さっむー!」

ビューと吹く冬の訪れを感じさせる風が吹いて、堪らず巻いていたマフラーを掴む。
手袋もしてくれば良かったと思ってももう放課後。

咲き誇っていた木々の青々とした葉も、色をつけて落ちていく。


隣には、当たり前のようにいる柊くんと先輩の姿。



「ねえ、大樹は柚花のところに行きなよ。そして先輩は受験勉強して下さい」

冷たく言い放ったというのに、この二人は「大丈夫」と言って取り合わない。



「柚花はバイト始めたから忙しいんだ」

「俺、元々出来るから受験は余裕」



なんか…私に彼氏が出来ない原因は、この二人にあるような気がする。
帰りに街に出るときも一緒にいるから出会いなんてあるわけない。


周りからは相変わらず「あの子羨ましい」なんて声が聞こえてくるけれど、私からしたらよっぽどそっちの方が羨ましい。