私は先輩のお母さんから、先輩に目を移す。
先輩の顔は一瞬驚いた顔をしていたけれど、すぐに持ち直して微笑んだ。



「母さん、ごめんな。…おめでとう」


先輩の声は、とても小さかった。
けれど、お母さんは聞こえたみたいに「ありがとう」と口を動かしたように見えた。


先輩のお母さんは、静かに涙を流す。
その顔に引き込まれるように見つめていると、先輩が私の肩をポンと叩いて「行こう」と促す。


歩き出す先輩に柊くんが着いていく。
私はもう一度、先輩のお母さんを見ると、彼女は泣いていた。




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「ありがとね、二人共。もう大丈夫。ちゃんと学校にも行くよ」


ニカっと白い歯を見せて笑った先輩に、少し心が痛かったけれど、先輩が前を向いていることはとても良いことだと思うから…


「学校で、待ってますからね」

柊くんと一緒にそう言った。





不気味で、とても冷めた顔付きをしていた三年生。


お母さんを安心させたいという一心から、自ら動いてきて、私が変えた先輩。



二人目、寺島 創。
少しの心の痛みを抱きつつ前へと歩き出す。


プロデュース、完了ーー