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午後14時。駅前に着くと、すでに柊くんがいた。
ベージュの綿パンにサマーニットを着て立っているその姿に振り向かない人はいない。
「大樹っ」
「あ、真衣。おはよう」
「おはよう…の時間ではないよね」
確かに。
と、彼はポケットにしまっていた手を額に持っていき、満面の笑みを見せた。
周りを見渡しても先輩の姿はない。
午後14時と指定してきたのは先輩なのに、一体どういうことか。と、思っていると柊くんの携帯電話の着信が鳴り響いた。
「あ、先輩だ」
「え?いつ連絡先交換したのよ」
「昨日、真衣送ったあとに…もしもし?先輩?」
はい。はい。と先輩と話している柊くんを見て、ぬかりない男だなと思った。
なぜ、柚花のことになるとあんなにダメンズになるのか。
「えっ?ちょ…先輩!?どういうことですか?もしもし?……切れた」
柊くんの驚いた声に私も目を見開いた。
「ど、どうしたの?何?」
「なんか、オンザスイーツに来て欲しいって…」
「え?」


