お礼にご飯を奢ると言われたその好意を丁寧に断って、家に帰ろうとすると、柊くんも先輩も「送るよ」と言ってくれた。
そういう言葉がスマートに出るイケメン二人に囲まれて、昇天してしまいそう。
道行く人の視線は、やはり彼らに集まっていた。
正統派イケメンに、ワイルド系イケメン。
その二人に囲まれている私は、周りからはどんな風に見えているのだろうーー
「今日は本当にありがとう。これで明日、決着つけて来られるよ」
残暑の残る夜。
夏休みが終わって9月だというのにムワっとするほどの熱気。
制服の襟を掴んで、パタパタと仰いでいると先輩は何か吹っ切れたように空を見上げていた。
イメチェンしたかった理由を「今度ね」とはぐらかされた手前、もう聞けない。
決着をつけて来られると言ったその理由を聞きたいのは隣にいる柊くんも同じようだった。
「朝比奈さん、柊くん、明日の土曜日、予定がないなら着いて来てくれないかな?」
月明かりが眩しくて先輩の顔が良く見えないけれど、その立ち姿はイケメンで、顔が赤く染まる。


