名前を間違えたことを謝罪して、机の中から数学のノートを取り出す。


「あ!」

そして、気が付いた。
昨日のノートを取り忘れていたことを。


「あの、ごめん。平木くん。昨日のノート取ってなくて」

「…ひいらぎ、です」

「あ、柊くんか。ごめんごめん」


さすがに2回も名前を間違えると、
いつも温厚そうな、そしてオタクそうな彼もさすがに呆れているような感じがした。



「どうしよう…数学の先生、一日足りともとってなかったらヤバイよね」


学校でも学年主任、生活指導主任を勤めている数学の先生。
ノート提出には特に厳しい先生。
私は彼に放課後まで待ってもらえるか聞いてみたら、案外あっさりと「大丈夫」と答えてくれた。


「でも、朝比奈さん。ノート見せてくれる人いる?みんな提出してるけど…」