「真衣は、いい子だよね」
柊くんはまたコーヒーを一口、口に運ぶ。
その姿はとても格好良かった。
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30分が過ぎたとき、私たちのいるカフェに一人の男が入ってきた。
その人が先輩だということにすぐに気がついたけれど、他人のふりをしたいほど…ダサかった。
「柊くん、朝比奈さん」
ニコっと、笑っているだろう、その顔はウェーブのかかった前髪で全く見えない。
「…先輩、なんですか。その格好は…」
丈の合っていないジーンズに、なぜかdokuroとデカデカと書いたTシャツ。
dokuroと書かれた下にドクロのマークが、これまたデカデカと書かれていた。
足元を見ると、なぜかローファー。
持っているカバンは学校に持っていく学生カバン。
ダサい、ダサすぎる…
そんな私の心情とは裏腹に先輩は口元を緩ませて「俺の一張羅」と豪語する。


