「真衣?どうしたの?」


帰りの玄関で、柊くんに声をかけられてハッと我に返った。
手には下駄箱に入っていた一通の手紙。



「な、何これ…まさか、風紀を乱すなとかそんな類の手紙じゃないでしょうね」

「真衣、考えすぎ。ラブレターじゃないの?」

「ラ、ラブレター!?」


古風過ぎるけど、なぜか少し嬉しくて。
あぁ、待て待て。でも、この学校にはダサ男しかいない。
焦るな、真衣ーー


自分に言い聞かせるように、首を横にブンブン振って柊くんの「早く開けてみてよ」と、ワクワクした子どもみたいな好奇の顔にドキドキしながら手紙を開いた。




【2-A 朝比奈 真衣様

僕を、変えてもらえませんか?
放課後、玄関で待っています。

3-B 寺島 創】



「てらしま…そう?」

「3年じゃん。先輩だね」


耳元で柊くんが言うから「うわ!」と、大袈裟に反応してしまった。
友達といえど、彼は私の大好きなイケメンなのだ。



「私が良いよって言うまで見ちゃダメ」

えー。と、悲しい目をして柊くんは見てわかるようにシュンと肩を項垂れた。