夏休みが終わった。
そう、夏休みが終わったというのにクラスメイトたちは、夏休みの思い出を話すわけでもなく、せっせと机に向かって勉学に励んでいた。


夏休み前と変わらない光景。
変わったと言えば、私と柊くんが行動を共にするようになったこと。

柊くんと仲が良かった男は、柊くんが高校デビューを遂げてから離れて行ったという。


その男は時々、私たちを見て「お洒落なんて…」とブツブツ言っているけれど、そんな心が荒んでる人を変えてやりたい。と思えるほど、私の心は広くなかった。



「大樹は、夏休み柚花とデートした?」

「あぁ、うん。図書館で…」

デヘヘと笑う彼の顔はとてもだらしなかった。だらしなくなる程、嬉しいのだろう。


「て、ちょっと待って。図書館で?まさか勉強デート!?」


キョトンとした顔で「そうだけど?」と言う彼に「はぁ」と短くため息をついた。


「…あんた、せっかく元サヤに戻ったんだから、中学の時と同じようなこと、したらダメだよ?」


一応忠告してみるものの、柊くんは何のことを言われているかサッパリ…という顔をしている。
やっぱりその顔は酷くだらしなかった。