私は、柊くんに耳打ちする。


「頑張れ。近くの公園にいるから終わったら来てよ」


そう言ってから柚花にも挨拶をして、公園に向かった。
軽い足取りで歩く。そして、一度振り向いてみると、二人は向かい合って何か話していた。


別れて一年と少し。
積もる話もあるだろう。誤解を解く話もするだろう。そして、想いも伝えるだろう。



「頑張れ、大樹…」

呟いた声は、広い空に溶けて消えた。





公園には、たくさんの子どもで溢れていた。
遊具で遊ぶ未就園児の近くでサッカーをして遊ぶ小学生を見て危ないなぁ。なんて思いながらベンチに腰をかける。

屋根のついているベンチなのに、夏の日差しはとても意地悪で。
私の肌をジリジリと焼いていく。



柊くんと別れて一時間が経過したときーー…
公園の入口に、二つの人影が見えた。

それが、柊くんと柚花いうことはすぐに分かったけれど、気付かないふりをして鼻歌を歌ったりして。



「…真衣」


彼が私を呼ぶのを待っていたの。