まあ、終わったことだけど。
彼はまた空を見上げてそう呟いた。
そんな彼の肩を思いっきりバッシーン!と音が鳴るほど、叩く私。
「何、諦めてるの!安西先生も諦めたらそこで試合終了だって言ってたでしょ!?」
「あ、安西せんせい?」
「あー、もう!スラムダンクだよ!」
愛読しているスラムダンクの安西先生の話まで持ち出すほど、私は必死だった。
だって、せっかく柚花が求めているイケメンになったのに勿体無さすぎる。
「好きなら突っ走んなよ。今の柊くんは、柚花ちゃんが求めてるイケメンだよ!?」
「でも、俺、付き合ってもまた柚花を楽しませられるか…」
「だーかーらー!」
私は柊くんの肩に手を置いて、彼を見上げた。
その顔立ちはハッとする程、イケメンで。
でも、自分に…好きな人に対して自信がもてないダメンズでもあった。
「そんな時のために、私がいるでしょう?」
柊くんと、恋したい。なんて昨日思ったけれど、なんていうか、彼はもう私の中では友達だった。


