昔から真面目で誠実な彼は、中学二年でこの高校を受けようと決意した。
お洒落にも興味が出てくる歳。
当然お洒落もしようと思ったけれど、どうして良いかわからず、そのままだったという。
そして、高校受験のために、猛勉強したせいで元々眼鏡をかけていたのにガクンと視力が落ちてしまった。
母にメガネの代金をもらって、買いに行ったけれど、時間がなく、黒縁の眼鏡。
そして、薄型レンズにできるほどのお金がなくて、そのまま分厚い眼鏡にした。
『眼鏡を外したらイケメンなのに、ただのオタクのガリ勉ヤロー』と周りから言われていたのは知っていた。
その時は、高校受験に向けて勉強していたから、どうでも良いと思っていた。
けれど、そんな彼にも春が来た。


