小さくて、こじんまりとした美容室。
アットホームな雰囲気と、気さくで何でも相談出来るこの美容室を見つけたのは高校一年生の春。
今までは一人で入っていたところにイケメン(仮)と入るのは少し緊張した。
「いらっしゃいませ。真衣ちゃんの彼氏?」
「…そんなわけないでしょう。高橋さん」
ははは。と、八重歯を出して笑う高橋さんは私の担当美容師。
この人を担当に選んだのは、お洒落で、イケメンだったから。
でもって腕も良い。けど、美人な彼女がいる。
「このもっさい髪、なんとかして下さい」
柊くんを指差して、こう言うと、柊くんはもっさい髪をかいて俯いた。
「はいはい。じゃあ柊くん、こっちどうぞ」
爽やかな笑顔を見せて、席に誘導する高橋さん。
その後ろ姿に「あ、爽やか短髪でお願いします!」と叫んで、雑誌を広げる。


