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「失礼しました」
ノートを職員室へ届けた。
数学の先生は「お前、柊のノート写してないだろうな?」と凄んできたけれど背筋を伸ばして
「そんなわけないじゃないですか。彼とこれから買い物に行くんです」と言って誤魔化した。
そそくさと帰ろうとする柊くんを捕まえて、強引に街に繰り出した。
「まずさ、その分厚い眼鏡、やめない?」
「俺、コンタクト合わないから」
「コンタクトじゃなくても、お洒落眼鏡あるじゃん。買おう!」
ありったけのお金を持って、大手の眼鏡屋に2人で入った。
店員は営業スマイルで私たちに近寄り、眼鏡のアドバイスをくれる。
店員と私があーでもない、こーでもないと、話している横で抵抗するのをやめた彼が少し項垂れていた。
結局、選んだのは私。
分厚い黒縁の眼鏡をやめて、半フレームの眼鏡。
これにスーツならイケメン度は3倍だろう。
数時間で出来るというから、店を出た。


