「…っ!!い…やっ…!」

私はラスフォールの胸板を押して、拒むがラスフォールに手首を掴まれる。

そして、そのままラスフォールは私の顔に自身の顔を近づけようとする。

「いやっ…いやっ!触らないでっ!」

私は声だけでも拒絶する。
しかし、それは彼の耳には入らなかった。

いくら私が拒絶し続けても、顔が段々近づくことは止められなくて、とうとうラスフォールの唇と重なってしまう。

「…っ!んんんー!!」

目を見開き、瞳からは涙が零れる。

最初から深い口づけに力もなくなってくる。

しかし、拒絶はやめなかった。

ラスフォールは私の口づけをやめ、首から下へとおりていく。

「いやっ!!触らないでっ!!触っていいのはあの人だけなんだからっ!」

「うるさい、黙れ。」

私が力いっぱいの声で拒絶したせいかラスフォールもイラっとし、私の頬を叩いた。

「きゃあっ!」

じんじんと痛くなる頬に段々とぼーっとしてきた。

そして、自分が先程何を言ったのか思い出す。

…私触っていいのはあの人だけって言った?

…あの人って誰?

思い浮かぶのは自分の頭の中で響いた男の人の声。

思い出そうとするが、首にチクっとした痛みで我にかえる。

「…っ!!やめてっ!」

ラスフォールは私のドレスに手をかけようとした瞬間、部屋のドアがノックされた。