霧の中

声が聞こえる。


ーーーーイ…ヴ

ーーーーーどこ…にいるんだ…

何かを必死に探している声。

…私はここだよ?…

何故かわからないが自分の口がそう言ってしまう。

ーーーーイ…ヴ…!

イヴという名を謎の声が呼んだ瞬間、霧が消え、人影が見えた。

顔は見えないのになぜか笑っている気がした。

そして、その人影が腕を広げる。
私はその腕の中に吸い込まれて、人影に抱きしめられる。


ーーーーイ…ヴ…やっと…会えた…

…違う、違う、違うよ…私はイヴじゃないわ……

ーーーー何を…言ってるんだ…?お前は…イヴだ…


…違う……!


「私はイヴじゃないっ!」