時は遡り、二週間前へ戻る。



魔界世界ニアタ。

一つの部屋に漆黒の髪色をもつ男性が倒れていた。


そして、その部屋に入ってきたのは風だった。



ーーー目を覚まして、あなたはあの女にやられるほど弱い人ではないはずよーーー

「うゔっ…」

男性の意識が戻りそうになった。


ーーー私があなたにおまじないをかけてあげましょう。もう操られないようにーーー


ーーーオン・バサラ・タラマキリクーーー


ーーーさぁ、これで大丈夫。早く目を覚まして。大切なものの存在に気付いてーーー


「ゔっ…… 頭が…痛い…。今の声は…?」

漆黒の髪色と赤い瞳を持つ男性は起き上がり周りを見渡す。

しかし、周りには誰もいなかった。

「夢だったのか。」