牢屋の扉がキーッと音を立てて開いた。

「食事だ。」

兵士はそう言い、人数分のパンが入った袋を乱暴に置く。
そして、牢屋から出ていった。

私は牢屋の扉へ近づき、兵士が周りにいないか確認した。

そんな私にサイエが声をかけた。

「おい?サン?何してるんだ?」

「あ、ううん。なんでもないの。」

「変なの。ほらお前の分のパンだ。」

サイエは私に手の平くらいの大きさのパンを手渡す。

「ありがとう。」

私は牢屋の奥に移動する。
サイエも私のあとをついてきた。

「あのね、これだけじゃ、足りないと思ったから、食糧買ってきたの。」

私の言葉にサイエが驚く。

「サン?!まさかこれ屋敷のお金じゃないだろうね?」

「違うよ!これは私のお金だから。証人できる人もちゃんといるよ。だから信じて?」

「わかったよ。でも、まさか、そのお金は”髪の毛”じゃないだろうね?」

サイエが理解してくれたのはいいが、その後に言われたのは図星だった。

「……。さぁ、みんなに食糧配ろうっと。」

私はすぐにサイエから離れ逃げた。

「ちょっと、待ちな!サン!」

私はサイエから逃げながらみんなに食糧を配った。



髪の毛は短くなったけど、その代わりにみんなの笑顔が見れて嬉しかったな。
これが幸せって言うのかな?

それにしても、私の頭の中で響いたあの声は何なの?

そういえば、私が眠っているときにも同じようなことがあった気がする…

あれはなに…?