「…こ…こ…はどこ、なんで…すか?」

長い間眠ったせいか、声がうまく出なかった。

「ここは貴族の家の牢屋さ…。」

彼女の顔が暗くなる。

「ろう…や…?ど、して?」

「あんた、なんにも知らないで運ばれたのか?!可哀想に…。」

「はこ…ばれる?」

「なんにも覚えてないのかい?」

コクッと頷く。
そんな私を見て女性は目を見開く。

周りの女性たちもなぜか目を見開いていた。

「…あんた、名前は何て言うんだ?どこに住んでたんだ?」

「な…まえ…。わか…らない…。わたし…は誰なの…?」

「あんた、記憶喪失か?本当に自分のことわからないのか?」

私はまた頷く。

「そうか…。可哀想に。ショックで記憶をなくしてしまったのかもしれないね。でも、名前がなきゃ、不便だ。あんたに名前をつけよう。」

「な…まえ。」

「そうだね…。ここに入れられるとき、あんたは眠っていたけど、一回明かりがともされたんだ。そのとき、あんたの髪の毛は太陽のように輝いてた。だから、あんたの名前はサンだ。」

「サ…ン…。」

「気に入ったか?」

私は女性に向かって、微笑む。

「うん…。ありがとう…えっと…」

「あ…まだ、私の名前を言うの忘れてたね!私の名前はサイエだよ。」

「サイエ…なぜ私は…それにみんなも牢屋になんか入れられているの…?私は…なにか悪いこと…したの?」

サイエは首を横に振った。

「いいや、ここにいるみんなは悪いことはしてないよ…。」

「…じゃあ…どうして…みんな牢屋の中で鎖で…縛られているの…?」

サイエの顔が悲しそうな顔になる。


どうして、そんな顔するの?


「私たちは奴隷なんだよ…。サンも奴隷なんだ…。」