「また、"こういう時"があったら俺ん家来るといいよ」


『…え』



部屋は真っ暗で

武の表情なんて全く分からない



"こういう時"


そう言うって事は、今日は何で家に帰れないのか、分かっていたのかもしれない



「何?修平の家のほうがいいってこと?」

不機嫌そうな声が聞こえて、微笑んだ



『そういう訳じゃないですよ。遠慮なく、遊びに行きますね』


「いいよ」



そう言っても私はもうここに来るかは不明だ

仲良くなったばかりの彼を頼りにするのは可笑しいし、

修平さんと同じように体の関係が築かれるのは嫌だ



『じゃあ、おやすみなさい』


「ん…おやすみ」


あまり眠くない暗闇の部屋の中、彼は


私の体を求めなかった



『…』


どこか来るんじゃないかなって思ってたけど

彼は来なかった


『…』


男の人と二人きり、それなのにまるでそういう分類じゃない気がするな――…



どのくらいたったか分からないけど、武の寝息が聞こえてきたから私も目を閉じた


良い夢見れますように――…