『ああ、その』




もう、恥ずかしい


けどすぐに帽子をとって同情を集めるのもなんだか気が引けて




「誰にやられたの?」



『…』


「もしかして、修平?」


『――え』



まさかの名前に目を見開く


それを武は肯定と勘違いしたのか顔色を変えて立ち上がった


「…ぶっ殺してやる」





――ゾク、として咄嗟に武の手にしがみついた



『ち、違うの!修平さんじゃない。私…付き合ってた人がいて、その人から逃げてきたの…』



――ポロッ、と涙が溢れ出す



「…」

武の顔色は変わらないようだけど、ゆっくりと私の隣に腰を下ろした




『だ、だから、お願い…何処にもいかないで』


あの、私を見下ろす颯太の顔を思い出してまた身震いをした





その時、



『――っ』

視界は真っ暗になった



正確にいうと武に抱きしめられたのだ





「…俺を頼ってくれたんだよな…、有難う」



『―ッ』




ホラ、私は狡い



修平さんの変わりだって言わないんだから









「胡桃が嫌がる事はなんもしないから、ずっとここにいていいんだからな?」



優しい言葉をかけてくれた