「片付いてないけど…どうぞ」



『…お邪魔します』



2度目のお家訪問に緊張しつつ、席に座った







『…武』


そう、ここは武の家




修平さんにかけられなくて、困った挙句連絡したのは武


つくづく都合のいい女だ




「お茶しかないや、ごめんね?」


ス、と500mlのペットボトルを受け取り、緊張で汗をかいたのか半分くらい一気に飲み干した




『…ごめんね、いきなり』




電話をかけて"家の前にいるんだけど助けて欲しい"なんて意味不明な事を言ったのに、すぐに来てくれた武には本当感謝しかない…



「…修平と、なんかあった?」




『…え』




修平さんの顔がチラリと浮ぶ




「いや、胡桃が連絡してくるってことは、修平となんかあったのかな?って思ってさ」




『実はね、前武の家に泊まった日にあの関係は終わっちゃったの…』



最近になって一度シてしまった事を言わない私はズルいのかもしれない




「…俺のせいだよね?」


『――え、』




武は申し訳なさそうに眉を寄せて頭を下げてきた


"ごめん"と言いながら




『違うの!これで良かったんだよ、修平と彩海は最近いい感じっぽいし』

あはは、と小さく笑うと武も納得してないようだけど笑った





「じゃあ、どうしたの?てか帽子とったら」


深く被ってる帽子に武の手が伸びて



『あ、』



気付いた時にはその帽子は武の手の中にあった








「――アザ、どうしたの?」


ああ…私、逃げてきたんだ