「…美味しい?」




ふと声がして顔を上げた




『あ…うん、美味しいよ』

思わずぎこちない笑顔を返してしまう




「そっかぁ!良かった」


ニコリと笑う彩海に軽く頷きご飯を食べる






さっき、修平さんに言われた言葉を思い出す




"――話がしたいから、ここで待ってて"




待ってて、って言われてもな



修平さんは終始無言





微妙な空気が流れる




「あ、あのさ、胡桃」


『…ん』




「この前できたってゆう彼氏さんとは、どうなの?」




ニコッと笑う胡桃はこの空気を変えたいらしい


『んー、そこそこ、かな


まだ続いてるよ。大切にしてもらってる』



ふと、首筋に手を当てた



私の首を絞める、颯太の顔を思い出して苦しくなった





「そうなんだ!良かったぁ…幸せそうで」




幸せそう、か


嫌味にも聞こえてしまう自分が嫌だ



彩海は心の底から喜んでいるのではないか、なのに、下に見下している気がして嫌だ






『ありがとう』





その後の食事も、味気が全くしなかった