どこに行く気なのか引っ張られるままだった。

「あの、どこ行くんですか?離してください。」

すると男は立ち止まり振り向いた。



「俺らといい事しようぜ。なぁ。」

そういって男は最村に近づいてきた。


「そんなにおびえないでよ。困るだろ?」

男は最村を抱きしめ耳元で囁いた。


その言葉に最村は体を震わせた。

怖い。

その一言が最村の頭を巡っていった。



「!やぁ!離して!」


振り払おうとしても男は離れず、力が強まるばかりだった。


引き離せない。

ここじゃ得意の背負い投げもできやしない。

それどころか恐怖で体が動かない。



なすすべがない。


誰か、誰か助けて・・・




その時だった。