突然突きつけた僕の言葉に、二人は表情は急に険しくなった。

「お前、わかっているのか?世間知らずのお前が

そんな年上の女性と子どもを、一時の感情で面倒をみるいわれはないんだ。

この前のお見合いもその場で断って…

何を考えているんだ?」

「その件に関しては、相手の方に本当に申し訳なかったと思っています。

でも母さんだって何も相談せず勝手に決めるなんてひどいです。

僕は確かに世間知らずかもしれませんが、もう30歳も越えた一人の大人です。

それに、彼女をこれ以上待たせて不安にさせて独りにしておくわけには

行かないんです」

2人はそれ以上だまって何も言わなくなった。また無視されるかもしれない…

その恐怖が僕を包んだが、それでももう

これ以上先延ばしにはできないと思った。

僕はそれから…

本来なら切ってはいけない最後の切り札を切った。

「母さん、実は彼女のお腹には…」

その言葉を言い終わる間もなく母は突然席を立ちあがり、

僕を平手打ちで殴った。

パーンという高い音が部屋に響き渡り、空気が一気に凍りつく。

父が母の後ろにいつの間にか回り込んでいた。

「みずきまさか、あなた…」

見開いた目で興奮を隠さず取り乱した母を、

父が静かに後ろから抱きしめて押さえる。

「ほのか、そんなに興奮したら体に…」