「必ず、早いうちにこちらにも連れてきます。彼女も子どもたちも…」

元々そう思っていたが、父の言葉で改めて僕達が大きな意味で

家族になることを知らされる。

結婚は僕だけの、僕達だけの問題じゃない。

それはそれぞれの家族を巻き込んで、

大きな視野で物事を見なければならなくなる。

僕達の勝手な感情や思い込みだけではなく、

それ以外のものにも気を配ることが必要で、とても大切なように思えた。

「ああ。母さんもその点については、喜ぶと思う。

でも今後は彼女たちを一番に、大事にすることだな。

それが母さんの気持ちに応えることじゃないんだろうか?」

父の言うことはもっともで、ただ頷くしかなかった。

「そうですね。色々あったとはいえ、軽率でした。

本当にご心配をかけてすみませんでした」

僕は静かに父に向かって頭を下げる。

しばらく続く静寂を破ったのは、父の嬉しそうな声だった。

「謝る必要はない。本当は喜ぶべきことだからな。

お前もやっと一緒に生きていきたいと想える女性に出会えたんだろう?

巡り会いって突然だよな?愛する人が、自分を想ってくれることの奇跡…

それはなにものにも代えがたいことだろう?」



「はい、そうですね。父さん…」

「なんだ?」

「父さんは…

父さんは…

母さんと結ばれて今、幸せですか?」