控え室を出て、入り口に向かう。
あれ?
入り口の側の壁に寄りかかってる人影が見える。
誰だろう?
近づくにつれ、そこにいるのが誰だかわかってきた。
「・・・玲慈」
「あ、桜!お疲れ様」
獣王総長とは思えない、人なつっこい笑顔を向ける
「ありがとう」
「ん、迎えにきた」
そう言って玲慈は手を出す。
「いいよ、大丈夫」
「だめ、足痛いんでしょ?ほんとは担いで行きたいんだけど桜は、きっと嫌がると思って支えるから手だして?」
気づいていたんだ、
ここまで来る間にすれ違ったスタッフも共演したモデルもリオさんも、誰一人気づかなかったのに、
「気づいてたの?」
「うん、ずっと見てたから」
ずいっと差し出される、大きな手
あたしは、なかなか差しだそうとしなかった。


