--コツコツ
ガラスのヒールが歩くたび、存在を主張する。
歓声すら聞こえない、あたしの前の一本道
風を切って進む。
さっき歩いたときには気づかなかったのに
・・・・・・玲慈
ステージの花道の真っ正面にいる。
すぐわかる。
どうして?さっき心奈ちゃんと話しをしたから?
なんで?
なんで、そんなまなざしをあたしに向けるの?
あいつがあたしを見るときと同じまなざし
目を反らせない
あっ!?
少し気を緩めたせいで足元が
--グキッ
「っつ・・・」
転けちゃだめ
転けはしなかったけど、少し足を捻った。
大丈夫、このくらいなら
あたしは笑顔で手を振ってステージ裏に戻る
入れ違いで心奈ちゃんがステージに上がってきた
「・・・(こそっ)心奈ちゃんがんばって」
心奈ちゃんは笑って花道を進んで行った。


