「チッ、行くぞ」
慌ててヤクザさんは帰って行った。
ちょろいちょろいと頬が緩むあたし
蹲ってる少年に駆け寄る
「大丈夫?」
「…っせ」
「ん?なに?」
「うっせぇ、くそ女」
は?
くそ女?
それが助けた人に対する礼儀?
「ちょっと!くそ女ってなによ助けてあげたんだからお礼ぐらいいいなさいよ」
少年はまだ立てないから下からあたしを見上げる
一瞬息が止まった
真っ黒な髪に
意思の強いグレーに近い瞳
どこかあいつと被る面影があったから
でも顔は所々傷だらけ
「…ありがとう」
真っ直ぐあたしの目を見てお礼を言った少年


