玲慈を置いて来ちゃった
でも、何か言われそうであそこにはいれなかったの
無我夢中で走って着いたのは
『安眠』
と書かれたお墓の前
「風雅、あたし帰ってきたよ、貴方の夢叶えたよ」
墓石の裏に彫ってある名前を指でなぞりながら
頬を一筋の涙が伝う
辺りは夕焼けに染まっている
ここは海がよく見える
墓石にもたれ掛かって海を見つめる
どうしてここに来ちゃったんだろう
風雅は怒るかな?
花ぐらいもってこい!
って
ふふ、想像したら笑っちゃった
ポケットを漁りライターをだしタバコに火を付ける
白い煙が一筋空へ登る
まだ吸ってんのか!
って怒るかな?
それとも
一本くれ、ってお前こんなじじくさいやつしかも強いやつ吸ってんの?
お前にはこっちのがいい
って大福くれるかなぁ
「馬鹿みたいね、もう居ないのにこんなにも色濃く心に残ってる」
ふぅー
紫煙が風に吹かれて飛んでいく
あたしの思いも飛んでいったらいいのに
「、、、、、くら」
ん?
「さくら!」
「玲慈?」
気づけば少し離れた所に玲慈の姿が見える
「いた!ってタバコ!?」
あ、見つかっちゃった
「玲慈どうしてここが?」
「その前に桜タバコ吸ってたの?」
「だめ?銀太だって吸ってるじゃん」
ってかあたしは高校生じゃないから違反じゃないのよ
「だめじゃないけど、だめ」
意味わからない
あっ!
もう一口吸おうと思って口に近づけたタバコは口まで届かず玲慈に捕られたタバコはあたしじゃなく玲慈の口へ
「ふぅー!!?ゴホッゴホ、ざぐらごれ強すぎ」
涙目で咽せってるし
「あたりまえでしょ?じじ様達が好む奴だもの、返して」
「やだ、桜にはこっち」
そう言って玲慈が渡して来たのは
「これって、、、大福?」
「そう、食べてみ?桜にはタバコよりこっちがお似合い」
ニッっとやんちゃな笑顔をであたしをみる玲慈に風雅が被って見えた
「さくら?!」
「なに?」
「泣いてるの?」
さっき止まってた涙が今度はあふれ出してきた
「え?止まらない、、、。」
ぎゅっ
「え?玲慈?」
「こうすればみれないからさ、思いっきり泣いていいよ」
その言葉を聞いた瞬間声を押し殺して玲慈の胸で泣いた
「、、、声出していいのに」
ふるふると首を振る
優しく頭を撫でる玲慈にいつまにか瞼が閉じていた


