玲慈サイド
「少し、時間もらってもよろしいですか」
今日はついてない
バイクを忘れて桜とデートのように帰るまではよかった
でも駅前に来たのが間違いだった
女たちは桜の悪口言うし
桜は全然気にしてなかったけど
お前らより桜の方が断然可愛いし
それよりも道行く男達が桜を見て頬を染める方が気にくわない
その視線にすら気づかない桜
鈍感すぎでしょ?
だからずっと眉間に皺を寄せたまま歩く
俺の機嫌は最悪に悪い
でも、不意に桜に裾を引っ張られて笑顔の桜の後ろをついて行くだけで
俺は嬉しい気持ちになった。
俺、単純、、、。
ついたのは和菓子屋
ショーケースを無邪気な顔で見つめる桜はすっごく可愛かった
出てきた割烹着姿の女性に名前を呼ばれた瞬間
さっきまでの顔が嘘だったんじゃないかってぐらい引きつった顔で脱走した桜
追いかけようとしたとき俺は呼び止められた
今日はほんとについてない
「わかりました、でも少し電話を掛けさせて貰います」
「もしー」
「鈴太か、悪い桜が逃げた」
「は?」
「駅前の和菓子屋で走ってどっかいっちまった。俺は、訳あって桜を追いかけられない、だから全員で探して欲しい、家に帰ったかもしれないけど、、とりあえず俺も用が終わったら桜の家に行ってみる」
「わかった、ばか玲慈」
「悪い」
よし、これでたぶん大丈夫
「話しって何ですか?」


