「あれ?あんた」
わたあめ屋のおじさんが話しかけてきた。
「あたし、ですか?」
「そうそう。あんた確か3年前、、、」
3年前という言葉を聞いた瞬間、あたしはその場から走って逃げてしまった。
・・・顔、覚えられていた?
気づけば足が動き出していた。
なんであたしこんな必至に逃げてるの?
寧ろ逃げたら肯定しているようなものじゃない?
頭は冷静に考えているのに、足は止まらない
浴衣が足に絡みつき、慣れない下駄で足が痛い
気づけば賑わう屋台を抜け、人気の少ないところに来てしまった。
「ここ、どこ?」
お寺が見えるけど、ずいぶん使われてないみたい
――ガサガサ
「!?」
「おやおや、こんなところで一人でどうしたのかなぁ?また、大切な人に先立たれちゃったのかなぁ?」
木の陰から出てきたのは、蛇龍の下っ端たち
「ねぇさんをずーっと見ていやした。とぉーっても楽しそうですね?」
「あんたらに、関係ないでしょ?それより何の用?」
「さすが、伝説の姫さんだ肝っ玉座ってるねぇ。それじゃ話が早い、俺たちと一緒に来てもらおうか」
さすが、バカは違うね。
いかにも頭悪そうな言い方
「選択肢は?」
「選択?あるわけねーだろ」
浴衣だし派手には動けない、だからと言って逃げられる気もしない、
「わかった。付いて行くわ。もちろん西川も居るのよね?」
「あぁ?やけに素直なんだな、もちろん西川さんがお前を呼んでるんだ、いないわけないだろ?」
あたしは大人しく奴らの車に乗った。


